大判例

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大阪高等裁判所 昭和28年(う)2384号 判決

職権で調査すると原判決は被告人呉文権に対し累犯加重の原因として同被告人が昭和二十四年三月十八日(判文に二月とあるは誤記と認む)窃盗罪により伊丹簡易裁判所において懲役一年六月未決勾留日数中五十日通算に処せられ当時その刑を受け終つた前科事実のみを認めたのであるが、大阪高等検察庁から送付にかかる同人の前科調書及び刑執行状況調査に関する書面によれば同被告人は右の外昭和二十三年八月十日(同二十四年六月十八日確定)同罪により伊丹簡易裁判所において懲役一年(昭和二十七年政令第一一八号減刑令によりその刑を懲役九月に減軽)に、昭和二十三年十二月二十四日(同二十四年六月十八日確定)同罪により同裁判所において懲役一年六月(この刑執行中に前記減刑令により懲役一年一月十五日に変更される)に各処せられ昭和二十七年九月十四日迄にいずれも右各刑の執行を終了したことが認められるからこの点において原判決は前科事実を誤認したこととなり延いて刑法第五十六条第五十七条の外に同法第五十九条を適用すべきにその措置に出なかつたことにおいて、法律の適用を誤つた違法があるも、右違法は未だ判決に影響を及ぼさないものと解せられるが故にこれだけで原判決を破棄するに足らないけれども、同被告人は本件に関し昭和二十八年六月二十五日以降未決勾留中(公訴提起は同年七月四日)のものであるところ、これより先昭和二十八年四月九日(同月二十四日確定)窃盗罪により尼崎簡易裁判所において懲役一年六月に処せられ同月二十四日刑期起算、目下該刑の執行中であることが記録中の神戸地方検察庁検察事務官喜田英一作成の犯歴証明書及び前示前科調書並びに同被告人の副検事に対する供述調書に徴し明白であつて観念上右未決勾留の執行と懲役刑の執行とが重複併存する場合である。ところでかかる場合は事実上は右懲役刑の執行として一個の拘禁のみがあるに過ぎないのであるから懲役刑と重複する右未決勾留日数は本件の本刑に算入すべきでないのに拘らず原判決が同被告人に対し原審の右未決勾留日数中百日を本刑に算入する旨言渡したのは刑法第二十一条の適用を誤つたものといわなければならないのであつて、この誤は判決に影響を及ぼしこの点において原判決は被棄を免れない。

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